◆◆文化財の分析方法◆◆
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●X線透過測定法
 病院のレントゲン撮影のように、X線を試料に照射し、X線の吸収の程度をテレビカメラ、フィルム、イメージングプレートなどで受け取り、透過画像を得る。X線は質量の重い元素(原子番号の大きい)程、X線を吸収し、透過しにくくなる。この性質を利用した測定法。調査時に像の構造を知る事が出来るが、道具立ては高価。とても一般の修復家が持てるものではない。

●赤外線観察法
 赤外線は可視光線よりも波長が長い事から、ほこり、すす、漆、顔料による散乱吸収が少ない。そのため、これらを透過して、下の墨書や鉛筆下書きに到達して観察できる。
 炭素(墨、鉛筆)によく吸収されるらしく、この観察法よって初めて墨書が確認されることも多い。ビデオカメラのナイトモード、赤外線監視カメラでもこれと同じ効果を期待できる。判別しにくい墨書はこの方法で判読できる。

●紫外線観察法
 紫外線を試料に照射すると、その一部は吸収され物質の分子を励起し蛍光を発する性質を利用した観察法。
 この事を利用して、以前の修理に使われた材料や、補修部分を容易に判別できる。
 蛍光の強さや波長は物質によって違い、その違いを判別する事ができる。油は黄ないしはオレンジ、膠や角質などのタンパク質は青白く光り、漆の場合は全く蛍光を発しない。

●蛍光X線分析法
 試料にX線を照射すると、特性X線(蛍光X線)という元素それぞれに特有のものが発生する。これを測定し、試料がどの元素で構成されているかを分析する方法。
文化財の素材を分析する時に使用する。

●年輪年代測定法
 木材の冬目と夏目で構成される年輪の幅が、その年の天候等によって変動する性質を利用して、比較基準となる長期の年輪幅の変動パターンを作成しておき、それと試料の木材の年輪パターンを照合し、試料の木材の伐採された年代を特定する。問題は、試料に樹皮に近い部分が残されていないと伐採年が特定出来ないという事。
仏像の場合は樹皮が残っている事はほとんどないのでなかなか導入が難しい。
最近では、CTスキャンを応用して年輪を計る方法も考案されている。

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この他にも科学的分析法はたくさんあります。


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