木造毘沙門天立像【南魚沼市指定有形文化財】 
平安時代11世紀 像高95.8cm


この修復に際しては文化財保護・芸術研究助成財団の援助をいただいて行いました。

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新潟県 南魚沼市 個人蔵          


     修復前            修復後


             
像の概要
一木造り(ヒノキ材)内刳りあり。彫眼。割首せず。頭体幹部を一材よりとり、背面材を寄せる(現状欠失)。後頭部材を寄せる(後補材)。両腕・持物は後補。両足先を寄せる(後補・新補)。

主な損傷の状態
  • 虫喰い穴が散在し、形状の欠失が起こっていた。
  • 足ホゾが、安定していなかった。
  • 台座の構造が安定していなかった。
主な施工内容
  • 像の経て来た歴史、造像当初のオリジナル部分を尊重した修復を行なった。
  • 部材を全て一旦解体し、根本的な修復を行なった。
  • 虫穴を一つ一つ埋め形状を復元した。
  • 背面材が欠失しているが、復元は行わなかった。
  • 両腕は後補であったが、使用することとした。

◆修復後記
 11世紀の御像の素晴らしい造形が蘇りました。

像内のノミ痕は外丸ノミを使っており、古風な内刳りでした。左腰材の接合には「栓」という丸ホゾを彫刻表面に貫通させて露わにするという古い技法が用いられていました。唐招提寺の御像でもこの技法が使われています。

背板が欠失していましたが、今回はこれを補わず、現状のままとしました。平安時代の像の構造が良く分かります。


今回は文化財保護・芸術研究助成財団の助成をいただき誠にありがたかったです。


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