全体
修復前 修復後
部分
修復前 修復後
修復前 修復後
修復前 修復後
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損傷の状態
- 囲炉裏の近くに長年置かれていた為に、全体が長年の埃、煤が積もり汚れていた。
- 弁財天左手及び脇手(計7本)、持物(計6個)が欠失していた。
- 弁財天輪光背が亡失していた。
- 大日如来台座後方部材、光背先端が欠失していた
- 地蔵菩薩持物(錫杖)が欠失していた。
- 修復基本方針
- 塗り替えは一切行わずに、クリーニングにより造立当初の金の輝き、文様を取り戻した。
施工内容
- 台座内部の角に補強材を新しく補い、台座の構造補強を行った。
- 表面の煤による汚れを刃物を用いてはじき取った後、薬剤、お湯で丹念に拭き取った。(岩座部分は膠彩色の為、特に注意してクリーニングを行った。)
- 小欠失箇所、虫喰穴に漆木屎を充填し補修を行った。
- 欠失していた弁財天左腕、脇手(計7本)、大日如来台座後方材を桧材にて新補した。
- 弁財天の輪光背、持物(宝剣、宝棒、鍵、矢、三叉戟、輪宝、弓)、地蔵菩薩の持物(錫杖)を銅板や竹を用いて新補した。
- 今回の修復の記録として、墨書して頂いた桧板を台座内部に納入した。
- 台座の漆塗膜が欠失した部分は漆錆下地で補修し、漆塗り、漆箔を行った。
- 新補した持物は金箔を貼り、顔料にて本体に合わせて、古色を付けた。
- 全ての補修箇所に、周辺と違和感の無いよう顔料、漆錆を用いて色を合わせた。
所見
大日如来像を中尊として脇侍に地蔵菩薩、弁財天を配す三尊像は非常に珍しい。造像年代は江戸時代末期と推定した。
厚く積もった、ホコリとススを除去すると、衣に施された金泥の模様がきれいに甦った。
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