白山妙理大権現立像  江戸時代

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新潟県 五泉市の寺院(曹洞宗)           


 
     修復前            修復後






 
   像本体解体            白龍解体




     岩座解体
主な損傷の状態
  • 長年のほこり、煤により表面が汚れていた
  • 白龍の部材の矧ぎ目が緩んで脱落寸前であった。
  • 白龍の彫刻に小欠失が見られた。
  • 白龍の表面漆塗膜に剥落がみられた。
  • 持物の矢尻が錆びていた。
  • 台座の岩の彫刻が欠失していた。
  • 上框が欠失して像が不安定になっていた。

修復基本方針

  • 像の構造はしっかりしており、像自体の解体の必要はないと考える。   
  • 岩座の下に框座を補い、像の安定を図る事が望ましいと考える。
  • 像は、厨子の部材の一つに置かれている事から、元々は厨子の中に納められていたと推定するが、今回は補わない事とする。
主な施工内容
  • 表面の煤による汚れを薬剤を用いて丹念に除去した。
  • 岩座を一旦解体した後、組み立て、内部に構造材を設け構造を強化した。
  • 白龍は一旦解体し、矧ぎ面の木工用ボンドを除去した後、組み立てた。
  • 小欠失箇所に漆木屎を用いて補修を行った。 (特に白龍に小欠失箇所が多かった)
  • 剥落した漆箔部分を膠下地、漆、金箔で補った。
  • 欠失している岩座の岩の彫刻を桧材を彫出して補った。
  • 欠失している上框は、桧材を用いて新しく補い、像の安置を安定させた。      
  • 新補した上框に漆及び金箔を用いて表面処理を行った。
  • 持物の矢尻の錆を錆除去剤を用いて除去した。
  • 全ての補修箇所に、周辺と違和感の無いよう顔料を用いて色を合わせた。 金箔を補った箇所は、顔料を用いて金の発色を抑えた。

◆修復後記
白山妙理大権現は、曹洞宗の寺院では重要な仏様だそうです。お寺の裏には白山という名前の山があります。図像では剣を持っていますが、本像は矢尻を持っていました。黒錆に覆われていましたので、鉄自体はすごく良いものでした。


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