木造伝十一面観音立像【新潟県指定有形文化財】
平安時代(10世紀前半) 像高89.7cm 総高158.8
新潟県 上越市 個人蔵
修復前 修復後 修復後 修復前写真・損傷写真 像本体 修復中 |
[本体] ・像本体は損傷は幸い損傷はなく、ホゾ周辺のみを補修し、安定させた。。
主な施工内容 修復所見 ・光背背面に元禄年間の銘文が発見され、本像を地域の鎮守として守 り伝えてきたことが実証された。 |
◆修復後記
・中越沖地震によって像を立てることが出来なくなったのですが、、それ以前から後補の台座・光背の矧ぎ目の膠は劣化して崩壊寸前であったようでした。光背は厨子に打ち付けられ、針金やセロハンテープで補修されていました。
御像が前でなく、後ろに倒れたのが幸いでした。
重い一木造りの御像と大きな光背を支える台座も後世の修理によって心棒を通さずに、薄い板一枚で全体を支えていました。
修復では、重い像と光背を支えるために腐心しました。
表面は後補でしたが、蕊部分だけ下に当初の塗膜が残っており後補塗膜を除去して、当初部分を出しました。
今回の修復で光背背面から元禄の墨書が見つかり、台座・光背がこの時期に作られたことが分かりました。この地区の鎮守として祀られてきたのが分かる墨書でした。修復後には公民館で講演もさせていただいて、御像のことや修復のことについて話させていただきました。地域の皆さんも長い年月この地域で信仰されてきたことが実感されて、より一層御像の愛着を持っていただけたのがうれしかったです。いい修復ができたと実感できました。
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