木造聖観音立像【新潟県指定有形文化財】 
平安後期 像高
88cm

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新潟県 柏崎市       


●震災直後の状態



●修復前後

2007年7月16日に発生した中越沖地震の際に、厨子ごと転倒した同像のレスキューを行わせていただいた。

 
●損傷状況
 ・地震で倒れた際に、右手第2・3指を割損した。指の  部材は別に保存
していた。
 ・右眉打ち傷。(虫食いで弱っていた部分)
 ・持物の蓮葉の茎が折れていた。

●修復所見
 ・中越沖地震により損傷した部分の修復を行った。
 ・最近の塗り直しによって造像当初の形状が埋まってし  まっていて残念。

●修復工程
 ・樹脂注入
  眉の虫食い穴に、アクリル系樹脂を注入して強化した。 ・接合
  麦漆、接着剤を併用して接合を行った。
 ・補修
  欠失箇所と矧目に漆木屎(漆+小麦粉+木粉)を用いて 補修した。
 ・補彩
  補修部分に錆漆(砥の粉+水+漆)や顔料を用いて周囲 と違和感のないよう補彩を施した。
 

◆修復後記
 ・中越沖地震でレスキュー活動をさせていただきました。3年後に年度末ぎりぎりに修復のご依頼を受けました。
 幸い損傷は軽微でした。ボランティア価格にて作業させていただきました。
皆さん、自宅が被災し、地域の神社やお寺も被災され、公民館も直しました。観音様はその最後の締めくくりとなりました。


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