木造高砂人形   [市民俗文化財] 
江戸時代

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新潟県の神社

髪の毛が麻の繊維で作られていましたが、大分無くなってしまっていました。麻の繊維をほぐして、矢車で染めて補いました。指先などを新補しました。


●修復前



●修復後



Y 構造・技法
木造。頭部は後頭部、首後ろを矧ぎ寄せる。スギ材およびヒノキ材。数材を寄せる。表面布貼り胡粉下地彩色(能面のように何度も塗り固めた堅牢な塗膜)髪の毛・髭に麻の繊維を植える。

Z 損傷状況・後補箇所
 ●損傷状況
 [尉]
  ・髪の毛が抜けている部分があった。
  ・彩色塗膜の欠失箇所があった。
   ・指先の欠失箇所があった。
 
 [姥]
   ・髪の毛が抜けている部分があった。
   ・彩色塗膜の欠失箇所があった。

[ 墨書など
「高砂人形箱
  有来之箱殊之外痛申立箱拵置候
  安永四年未七月十八日 城町
                  杢右衛門」       以前の箱が傷み、安永四年(1775)に作り直したことが分かる。

\ 所見
  ・堅牢な彩色が行われており、本像の彩色は作られた当初のものが残っていると推定する。
  ・美術工芸というよりも、お祭りの総合的な民俗学的な価値を高めるような修復および、調査研究を行いたい。

] 修復基本方針
 ●像の造像当初の彫刻形状、歴史を尊重した修復を行う。塗り直しなどの安易な修理方法はとらなかった。

]T 修復工程
[本体]
 1.搬出
    お持ちいただいた。
 2.修復前写真撮影
    修復前の記録として、像全体と損傷箇所を写真におさめた。
 3.剥落止め
    下地層に膠水溶液を染み込ませ、強化した。
 4.補強
    解体を行わなかった部分の矧目に接着剤を注入し、補強した。
 5.新補
    欠失した指先および、構造材をヒノキ材にて新補した。
 6.髪の毛補修
    少なくなってしまった髪の毛を、麻の繊維をほぐし、矢車で染めて補った。
 7.補修
    小欠失箇所および矧目に漆木屎(漆+小麦粉+木粉)を充填整形して補修した。
 8.下地
    補修した部分に膠下地を施した。
 9.補彩
    周囲と違和感のないよう、補修部分にのみ顔料及びアクリル絵の具で補彩を施した。
 10.修復完成写真
    修復が完成した状態を写真に記録した。
 11.修復報告書作成
    修復前後や損傷状況、修復作業の写真を使用した修復報告書を作成した。
 12.搬入
    薄葉紙・紙座布団で損傷しないよう厳重に梱包した後、搬送し、搬入を行った。
 13.修復概要の説明
    搬入の後、修復概要のご説明を行った。



◆修復後記
 


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