澤田政幸作 曼珠沙華
     像高  232cm

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新潟県糸魚川市 谷村美術館
神城断層地震により転倒してしまいました。

●修復前


●修復後
照明の影も生かした展示になっています。



割れ止め
補修状況

澤田 政廣(さわだ せいこう)1894年〜1988

 Y 形状
  炎髪。八臂。

Z 品質・構造
  FRP(繊維強化プラスチック製。不飽和ポリエステル樹脂もしくはエポキシ樹脂か、ガラス繊維)。表面、金箔、アクリル絵の具彩。

[ 損傷状況
  ・落下によって右の3本の腕が折れていた。
  ・落下によって額に傷を負い、後頭部が外れ、首にヒビ割れが入っていた。
  ・躰部右側面に割れが生じていた。
  ・細かい欠片が散乱していた。

\ 所見
  ・熱海市立澤田政廣記念館にも同じ名の作品が存在しており、これを型取りし、FRPで置き換えて作家本人が作成していると考えられる。
  ・重心が上部にあり安定が比較的良くない。

] 修復基本方針
  ・御像の歴史を尊重した文化財としての修復を行う。安易な塗り直し修理は行わなかった。
  ・脇手の継ぎ目は制作当時からのものであり現状のままとした。

]T 修復工程
 1.搬出
    美術梱包に依頼し、梱包・搬出を行った。(立ち合いを行った)
 2.修復前写真撮影
    修復前の状態を写真に記録した。
 3.内部補強
    体幹の割れの内部からガラスマットとエポキシ樹脂で補強した。
 4.接合
    エポキシ系接着剤を使用して割れた部材を接合する。腕は内部に心棒を新設して差し込み接合した。
 5.補修
    漆木屎(漆+小麦粉+木粉)もしくは、合成樹脂パテを使用して補修した。
 6.補彩
    補修部分の必要な箇所に金箔を貼り、色を置き目立たなくした。
 7.修復完成写真
    修復後の状態を写真撮影し記録した。
 8.修復報告書作成
    写真を用いた修復報告書を作成した。
 9.搬入
    薄葉紙、紙座布団などを使用して厳重に梱包して搬送した。 
 10.安置
    修復工程のご説明後に像を安置した。

◆修復後記
・FRPで作られた彫刻の修復。原型は熱海の澤田政幸美術館にあります。作者自身が複製して制作しているので、レプリカではないという事になります。


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