位牌の修復 高さ60cm       
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新潟県 村松町の寺院(曹洞宗)      

開山『洞山正宗第二十一世当寺開山傑堂能勝大和尚禅師』位牌

     修復前         修復後

二代『洞山正宗第二十二世当寺二世顯窓慶字大和尚禅師』位牌

     修復前         修復後

三代『洞山正宗第二十二世当寺三世虚廓長清大和尚禅師』位牌

     修復前         修復後

損傷の状態

  • 全体が長年の埃、煤によって汚れていた。
  • 表面の泥下地漆塗膜が剥離、剥落していた。(白いところが漆塗膜が剥落し、泥下地の見えている部分)
  • 隅足が合計6つ欠失していた。
  • 接着剤(膠)の劣化、鉄釘の腐食によって、部材が崩壊寸前になっていた。
  • 漆塗りを全面に施した後に、文字を彫り込むという技法を用いている為に、文字周辺の漆塗膜が剥がれやすく、損傷が激しかった。

修復基本方針

  • 造立当初の漆塗膜の剥離を止め、欠失した塗膜を補い、歴史を経てきた造立当初の雰囲気を壊さぬよう補修を行った。
  • 塗り替えは一切行わずに、クリーニングにより造立当初の金の輝きを取り戻した。

施工内容

  • 剥離して浮き上がった漆塗膜を、コテと膠水溶液を用いて貼り戻した。
  • 薬剤を用いて表面のクリーニングを行い、表面の金色を取り戻した。
  • 部材を一旦解体した。
  • 欠失した隅足は桧材にて新補し、小欠失箇所は漆木屎にて補修した。
  • 部材を接着剤と竹釘を用いて再接合した。
  • 部材間の矧ぎ目を漆木屎を用いて充填整形した。
  • 剥落し欠失した漆塗膜部分に、錆下地又は泥下地で下地を補い、呂色漆塗りによって漆塗膜を補った
  • 補修、新補箇所のみに周囲と違和感のないよう顔料等で色を合わせた。

●部分



       
    修復前           修復後              修復前          修復後



    修復前         修復後
    


修復後記

 このような損傷した位牌は、普通業者に修理を依頼すると、表面を全部剥がして塗りなおしてしまうか、新しい位牌を買うよう薦められます。このお位牌は、寺院を開基された三人の僧の御位牌で、それぞれの木造の前に祀られていました。開山の傑堂能勝様は新潟の曹洞宗の寺院をたくさん開かれた名僧です。
 ご住職様は以前に仏像を修理に出し、ピカピカに塗り直されて帰って来て以来、修理が怖くなっていたそうです。偶然にも私がお訪ねし、修復をする事が出来て、非常に喜んでいただけました。

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