◆◆仏像に使用されている接着剤◆◆

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 仏像には様々な接着剤が、その時代時代で制作や修理に使われています。修復家はその接着剤に合わせて除去の方法を選択し、像を解体していきます。おかげで接着剤の事に大分詳しくなりました。ここではその代表的な例を挙げていきます。

 最近でもどんどん新しい接着剤発売されています。不適格な修理で、形がずれて接着剤がはみだしているものによく出会います。こういう場合には部材を一旦取り外すのに苦労します。所有者の方にお願いしたいのは、応急的に止めるのであれば、なるべく溶剤で除去可能な接着剤を用いておいて頂きたいということです。

 

◆膠
 動物の皮や骨を煮込んだ煮汁を煮詰めたもの。タンパク質が主成分。一般的に手に入るものとしては、三千本膠(牛)、ウサギ膠、鹿膠(牛)、チョウザメ膠等の種類がある。接着に使われる他に絵の具の固着剤として使われる。たいがいの仏像はこれで接着されていた。水分、湿度に弱い。

 

◆麦漆 
 漆に小麦粉を練り込んだ接着剤。古代より使用されているが、仏像の修復に使用され始めたのは、江戸時代半ば以降と推定される。硬化には湿度と時間を要するが、硬化後は非常に強力。除去は非常に困難。

◆糊漆
 漆に上新粉(米の粉)を焚いた糊を混ぜたもの。麦漆よりも接着力・耐久力は劣る。

◆膠漆
 漆に膠水溶液を混ぜた接着剤。膠分により一次接着力を持つ。陶器の接着等に用いられた。

◆木工用ボンド
 酢酸ビニル樹脂系接着剤。エマルジョンで水分蒸発によって固化。固化後も、お湯等で緩み、除去は可能。酢酸エチルに可溶。

 

◆セメダインG17
 セルロース系接着剤。黄色味を帯びている。家庭で簡単に手に入るなんでも付けられる接着剤と言えばこれであったので一時期流行した。かさ持ちするので、接着剤をはみ出して付けられていることが多い。アセトンに可溶。

 

◆セメダインC
 セルロース系接着剤。プラモデル等を作る時によく用いた透明の接着剤。アセトンに可溶。

◆エポキシ樹脂系接着剤
 主剤のビスフェノ−ルAと硬化剤のアミンの2液混合性の接着剤。ビスフェノールAは環境ホルモンとして有名。アミンは発癌性がある。どちらも人体にはあまりよろしくない。溶剤には溶けず、可逆性がない。一度接着を行うと除去は非常に困難。

◆瞬間接着剤
 シアノアクリレート系接着剤。元々は手術用の接着剤として考案された。接着面の水分と反応して硬化する。
 

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