◆◆仏像の素材◆◆

HOME保存修復まめ知識→仏像の素材

ここでは、仏像の主要な制作素材別にの説明を行いたいと思います。

@鋳造仏

銅、鉄、銀、金などでつくられたものがある。一番ポピュラーなのは金銅仏です。

金銅仏はまず、土で芯になるかたちを作った後に蜜蝋という蜂の巣の成分で細かいところまで造形します。それを土で被って外型(雌型)を作った後、火で焼き固めると同時に蜜蝋を溶かして外に出します。蜜蝋が無くなった部分に出来た空洞に銅を流し込みます。冷えて銅が固まるのを待ち、外型を割り、像を取り出します。細部を鏨で整えたあとに、鍍金(アマルガムめっき)をして金色にします。基本的には小さい御像が多いですが、奈良や鎌倉の大仏のように大きなものも作られました。

江戸時代近くには木で作った原型から土型を取り、鋳造するものもあります。

A塑像

心木にワラを巻き、すさの入った荒い土、籾殻入りの中土、紙すさの入った仕上げ土を付けて形を作っていきます。表面に白土を塗り、彩色をして仕上げます。現存するものは非常に少ないです。

B乾漆仏

乾漆像は脱活乾漆と木心乾漆という2種類があります。

脱活乾漆像は、土で芯を作ってその上に麦漆(漆と小麦粉で作る接着剤)で麻布を何層か貼り付けます。乾いた後に内部の粘土をかき出して、内部に骨組みを作って構造を安定させ、細かいかたちを漆木屎(漆+小麦粉+木の粉のペースト状のもの。固まると非常に硬くなります。)で作っていきます。張子のようなものです。

木心乾漆像は木を荒く彫ったものに麦漆で麻布を貼り、細部のかたちを漆木屎で作ります。

これらの乾漆という技法は非常に沢山の漆を使う贅沢な技法でした。

C木造仏

木造仏の技法については「木彫仏像の構造・技法」の項で詳しく触れています。日本の仏像の中の圧倒的多数は木造仏です。特に平安時代以降は木造ものがほとんどになります。他の仏教国でもこれだけ沢山の木彫仏がのこっているところはありません。10メートルを越すものもあります。この日本は木彫の国と言えます。

どうしてこのように木彫仏が残されてきたのかというと、

@彫刻に適した木材(ヒノキ・カヤ・ケヤキ・クスノキ・カツラ・サクラなど)が豊富にあったこと。

A彫刻を行う道具(刃物)がよいものがあったこと。

Bその構造や技法において様々な工夫が行われたこと。

C修理をしつつ、今日まで伝えられてきたこと。

D飛鳥時代から現代までの長きにわたって、仏教が継続して信仰されてきた。

という事が挙げられます。







他にもいくつかの素材で仏像は作られていますが、今回は省略します。



もどる


このサイトの御意見・御感想は、butuzou★syuuhuku.com
                       (★を@に変えて送信下さい)まで

HOME :http://syuuhuku.com