木造親鸞聖人坐像
江戸後期  像高
72cm

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新潟県 新潟市の寺院(浄土真宗大谷派)         


●修復前後




●損傷状況




●解体写真
主な損傷の状態
・背面材が遊離していた。
・部材の接合に使用されている膠が経年劣化し、弱くなっ ており、矧ぎ目の動いている部分もあった。構造が弱く なっていた。
・体幹部材と両脚部材の間の薄材と裳先材に、現在進行し てはいないが虫害が発生していた。
・各所に鼠による咬害があった。
修復基本方針

・像の経て来た歴史、造像当初のオリジナル部分を尊重した修復を行なった。

主な施工内容
・清掃
 表面のホコリと、内部の虫糞を除去した。
・クリーニング
 表面を湯と薬剤を用いてクリーニングした。
・解体
 全ての部材を一旦解体した。
・矧ぎ目清掃
 矧ぎ面に残った膠を全て湯で緩ませ拭き取り、接着の効 果を高めた。
・膠塗布
 全体に膠水溶液を塗布し、表面を強化した。
・樹脂含浸強化
 虫喰いによって強度が著しく低下した体幹部と両脚部の 間の薄板にアクリル樹脂溶液を含浸し強化した。
虫穴樹脂強化
 虫穴にアクリル樹脂溶液を注入して強化した。
・組み立て
 接着剤とステンレス木ネジを併用して組み立てた。
・修復銘札納入
 修復の記録として桧板に墨書きしていただいた修復銘札 を像内部に納入した。
・虫穴補修
 虫穴に漆木屎(漆+小麦粉+木粉)を充填し整形、補修 した。
・小欠失箇所、矧ぎ目補修
 小欠失箇所と部材の矧ぎ目に漆木屎を用いて補修した。
・新補
 裳先の一部を桧材を彫出して補った。
・補彩
 漆錆下地や顔料を用いて補修箇所を周囲と違和感のない よう補彩した。   

◆修復後記
・表面は、クリーニングと、膠による表面強化のみを行ったが、面目を一新した。
・虫食いによる損傷が激しい部分もあった。
・親鸞さまの750年忌という記念すべき年に修復を行う事ができた。
・様々な資料にあたると、親鸞像は二重瞼のものが多い事がわかった。


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