澤田政幸作 聖観音
像高 241cm
新潟県糸魚川市 谷村美術館
神城断層地震で倒れてしまい損傷を受けました。
●修復前
●修復後
●損傷状況
細かいかけらも。
《本体》
髻を結う。宝冠を頂く(正面に化仏)。白毫相、三道相をあらわす。耳朶貫かず。瓔珞を着ける。左手は屈臂し、掌を上に、五指を開く。右手は屈臂し、掌を正面に五指を開く。天衣、条帛、裙を着ける。臂釧を着ける。台座上に立つ。
《台座》
蓮華座。
《光背》
頭光のみの舟形光背。中心に、八葉蓮華。蓮華座に乗る化仏を5躯配す。雲文。
Z 品質・構造
木造一木造り(クス材)内刳りなし。両前膊より寄せる。光背を後頭部に付ける(栓止め)。台座竪一材(中心に木心を込める)。表面、アクリル彩か。
[ 損傷状況
・落下によって顔面(鼻、口、顎)に擦れ傷を負った。
・落下によって両手先、袖、台座蓮弁が割損を負った。
・落下によって光背が割損を負った。
・細かい欠片が散乱していた。
\ 所見
・本体と台座の間のダボが通っていない。
・高い台の上に置かれており、安定が比較的良くない。
・御像の歴史を尊重した文化財としての修復を行う。安易な塗り直し修理は
・台座と本体を繋ぐダボを新補した。
]T 修復工程
1.搬出
美術梱包に依頼し、梱包・搬出を行った。
2.修復前写真撮影
修復前の状態を写真に記録した。
3.接合
エポキシ系接着剤を使用して割れた部材を接合した。
4.補修
漆木屎(漆+小麦粉+木粉)を使用して補修した。
5.補彩
補修部分にのみ色を置き目立たなくした。
6.心棒新補
桧材にて像底と台座に交わす心棒を新補した。
7.修復完成写真
修復後の状態を写真撮影し記録した。
8.修復報告書作成
写真を用いた修復報告書を作成した。
9.搬入
美術梱包に依頼して搬入した。
◆修復後記
・内刳りがなく大きな御像で、一人では動かせないませんでした。高い台に載せねばならない事もあって、美術梱包のかたに依頼して搬送をお願いしました。
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