◆◆修復行程例(全解体根本修復の場合)◆◆
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1.現地調査

修復見積りを作成する為に、現地におもむき調査を行います。

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2.魂抜き

住職さまによって仏像の魂抜きの儀式を行います。これによって一旦仏像の魂は抜け、心置きなく修復作業を施す事が出来ます。

 

3.搬出

像を薄葉紙、紙座布団、さらし等で厳重に梱包して、搬送します。

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4.修復前写真撮影

前後左右天地の6面と損傷箇所の写真を撮影し、修復前の像の状態を記録します。

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5.害虫駆除

像の虫喰いが激しく、これからの被害拡大が懸念される場合には、薬剤を用いて害虫を駆除します。

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6.剥落止め

造像当初の表面処理や残すべき表面処理が残っていて、剥落しそうな場合には、合成樹脂や膠、ふのりを用いて剥落を止めます。

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7.解体

鉄釘、鉄鎹、接着剤(膠・漆・合成樹脂 等)を状況に応じて除去しながら、 部材各々の矧ぎ目から一旦解体します。

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8.鉄釘・鉄鎹の除去

鉄釘・鉄鎹は錆び付き膨らんで、像の木質を割ったり、炭化させたりしています。これは仏像にとっての癌のようなものなので、全ての鉄釘・鉄鎹を除去します。
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9.解体写真撮影

解体した部材を全て並べて、写真に記録します。

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10.構造図面
より仏像の構造をご理解いただくために構造図面を作成する場合もあります。
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11.後補箇所の除去

後から補われた彩色・漆箔・漆木屎による塑型などを一つ一つ丹念に除去し、造像当初のかたちに戻していきます。この行程をしっかりと行う事で、後世の修復によって分からなくなっていた、像本来の姿が見えて来ます。一番時間のかかる作業です。

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12.クリーニング

像全体のほこり、すす等による汚れを拭き取り、除去していきます。薬剤を使う場合もあります。

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13.樹脂溶液含浸強化

木材が腐朽して強度が不足している部分には、薬剤で腐朽菌を死滅させた後に、合成樹脂溶液を含浸し強化します。

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14.釘穴の補修

古い釘を除去した釘穴には桧材の棒を埋め木して組み立ての際に、釘を打つ場所として再利用します。

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15.虫喰い穴の補修

害虫にあけられた孔一つ一つに漆木屎や合成樹脂を充填し、補修します。

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16.小欠失部分の補修

部材ごとに、小さい欠失を桧材もしくは漆木屎で補修します。

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17.組み立て

部材同士のかたちの繋がりに留意しながら、麦漆、エポキシ系接着剤、ステンレス釘を用いて、組み立てていきます。

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18.修復銘札納入

修復の記録として桧の板に、尊像名、修復完成の年月日、修復費用の寄進者、修復に関わった人々の名前などを墨書し、像内に納めます。その他、空間に余裕がある場合は、経巻、写経、結縁者の名簿などを納めることも出来ます。

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19.欠失箇所新補

造形が失われている部分を桧材で彫出し新しく補います。

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20.矧ぎ目充填

各部材の矧ぎ目を漆木屎を用いて、充填し、各部材間の連続をはかります。

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21.補彩

像のオリジナル部分には色を乗せず、新補した桧材と補修に用いた漆木屎にのみ、周囲と調和のとれた色を置き仕上げます。

漆塗りの像の場合は、補修した部分のみ漆を塗り周辺と合わせます。

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22.持物・台座・光背の調整

持物・台座・光背も基本的には本体と同様に修復します。無くなっている場合には像と調和のとれたものを新しく作り補います。

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23.修復完成写真

全ての作業が終了した後、修復後の写真を撮影します。

 

24.修復報告書作成

修復の行程を記録した写真を用いた詳細な報告書を作成します。

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25.修復図面
修復箇所を表記した修復図面を作る場合もあります。これで修復箇所を分かっていただき、その苦労も分かっていただけるのではないかと思います。
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26.搬入

像を薄葉紙、紙座布団、さらし等で厳重に梱包し、搬送します。

 

27.修復概要の説明

像に施した修復処置を修復作業中の写真を使った報告書を用いて説明します。たくさんの檀家さんの前で説明をする場合もあります。

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28.魂入れ

住職さまにより魂入れの儀式を執り行い、像の魂を呼び戻します。これによって修復の全作業が終了します。

 

以上が仏像修復の基本的な行程です。行程の多さに驚く方もいたでしょうか。しかし、像によってはこれ以外にも行程を重ねることもあります。像一つ一つ損傷は異なるので毎回修復行程の組み立ては違ってきます。むしろ、この基本的な行程で終わるものの方が珍しいです。

台座、光背の修復も基本的には本体と同じように修復します。台座・光背が本体の仕事量と同じくらいになる事もあります。         

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